Dreamfall: The Longest Journey part.1

あれから10年…

初っぱなから何から何まで前作The Longest Journeyをやっていることを前提としているので、The Longest Journeyをやっていない人がやると、何だかよく分からずにつまらないものになるのではないかと思う。

プレイする側もThe Longest Journeyの続編であることを期待してプレイしているはずだが、あいにくDreamfallの立ち上がりは遅い。どうでもよさそうな話からじわじわと関わり始めていくので、非常にかったるい。過去のボーイフレンドなんてどうでもいいじゃないか、そんなことよりもAprilだろ…というね。

あまりアドベンチャーゲームに造詣が深いわけではないのだが、これまでに面白かったアドベンチャーというのは、いきなり自殺を図ったりいきなり異世界に飛ばされたりいきなり交通事故で意識不明の重体になったりしていた。プレイヤーを惹きつける劇的なイントロは欠かせないのではないかと思う。
とにかくDreamfallでは、一見どうでもよさそうな(よくはないのだが)最初の数時間を乗り越えて、「あれ、もしかしてこの場所は前作の…」ということになってくると、ようやくエンジンがかかってくる。

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とりあえず気になるのが、キャラクターの表情が非常に乏しい。
主役級のキャラでも、ほぼ無表情で目と口だけ動かして喋っているのが不気味だ。その辺のNPCとなると口しか動かない。2006年のゲームなので、表情豊かなHalf-Life 2だとかVampire: The Masquerade – Bloodlinesなんかはとっくに出ていたわけだから、もうちょっと頑張って欲しいところである。

The End of The Longest Journey

長旅乙であった。

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Balanceという割には、Vanguardという明確なEvilが用意されていたり、それが割とベタというか分かりやすい展開になったり。Balanceとは何ぞやという難解なプロットではなく、年齢を問わない分かりやすい内容である。

Aprilは不相応に大人びて達観しているわけでもなく、使命に燃えるどこか抜けたようなデフォルメされたキャラクターというわけでもなく、日常から唐突に非日常的な事象に放り込まれて困惑している青年として描かれている。特にDiaryでは内面が吐露されることが多いので、TODOリストとして読む以外にも価値がある。
Aprilと同じくらいの年代(18歳前後)の若者がプレイすると、彼女に共感出来る点も多く良いのではなかろうか。

フルボイスの英語も、スラングの強いNPCが結構いるものの、基本的にはゆっくりと喋ってくれるので聞き取りやすい。重要な出来事が記録されるDiaryや、ゲーム開始時までの全ての会話ログを読み直すことが出来るConversation Logもあるので、英語の学習用途としてもかなり良い部類だと思う。日本のノベルゲームのように、既読メッセージを読み返す際に音声も再生仕直すことができれば、なお良かったが。
BalanceだのGuardianだのSentinelだのVanguardだの、独自の用語も結構出てくるが、元の単語の意味から連想できるものばかりなので、あまり問題はないと思う。

システムも気が利いていて、使えるアイテムの場合はオブジェクトに重ねた際に点滅したり、Pでポーズして会話をじっくり読んだり、Xで移動地点の表示、Escで面倒な移動をスキップ、と快適に遊べるように至れり尽くせり。Point & Clickとパズル以外に煩わされることなく楽しめる、アドベンチャーゲームのお手本のようなゲームだと思う。

The Longest Journey

GOG版(マニュアルの挿絵を見る限りオリジナルも)はフォントにアンチエイリアスのかかっていないスクリプトフォントが用いられているため、英語になじみの薄い日本人には大変読みにくいのである。

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先日のSteam Summer Camp Saleで安かったので、Dreamfallついでに買ってみたのだが、こちらはサンセリフのフォントなのでなんとかなりそうではある。

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双方のインストールディレクトリを覗いてみたところ、GOG版にはfontsディレクトリがあり、Steam版にはそれがない。fontsディレクトリの中は生のTTFがいくつか入っているのだが、このfontsディレクトリをリネームなり削除すると、Steam版と同様にシステムフォントが用いられるようだ。含まれているフォントとSteamとの契約の都合か、ライセンス違反(じゃあGOG版はということになるが…)でもあったのだろうか。
GOG版ではそこそこの数の書体が使い分けられているので、状況に応じた雰囲気の良さが損なわれるのが惜しいが、やむを得ず。

そんなことよりも、このゲームの何が魅力かというと、SFとFantasyの入り乱れるスケールのでかさというのもあるんだろうけれども、主人公のAprilがひたすら喋りまくることではないだろうか。なかなか可愛らしい台詞とVoice Actで、どんな反応をするのか気になる。
Mystのように、ひたすら孤独で寂しい雰囲気を味わうアドベンチャーとは対照的だと思う。
オブジェクトに対する描写がAprilの視点で語られるし、登場するキャラクターとはゲームの進行にあまり関係のない雑談も行うことが出来たりして、人物や世界がどういったものかを感じ取ることができる。それによってちょっとした分岐なんかもあったりする。
マニュアルの最初の方のページを読んでおくと、どんな感じのゲームかということと、このディベロッパはアドベンチャーゲームが好きなんだなあというのが分かると思う。

 

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解けた後に「こんなん分かるかい!」とつっこみをいれる。解けてるんだけれども。このアイテムの組み合わせが許されるのなら、もうなんでもありじゃないか的な。アドベンチャーゲームは不慣れなので、この先難易度が上がってきてどん詰まりにならないかどうかが心配。

あと、時代が2209年とかいう今から約200年後の割には、建築物や服装、文明・文化が殆ど変化していないように思われるのが気になる。今我々が生きている世界から200年後という設定ではなさそうなのは承知の上ではあるが、精々郊外から眺める都市の高層ビル群や空飛ぶ自動車に若干の近未来を感じるくらい?

でも、全くの異世界に辿り着いて、現地の住人がさも当然のように英語で喋り出さないのは、雰囲気を大切にしていて良いね。

ストーリーとパズルが大きなウェイトを占めるので、多分色々と書けなさそうではある。