Eliza #1 A Proxy

AIによるカウンセリングサービスを題材にした近未来SFビジュアルノベル。

このゲームは2019年に発売されていて開発期間はもう少し前に作られているが、その頃のAIというと、Deep Learningが成果を出し始めて研究者以外にも注目しはじめられていたころで、GANによる画像生成AIがトレンドだったと思う。
自然言語処理AIはまだ途上で、今となってはAIのメインストリームとなったChat-GPTを代表とするLLMは生まれたばかりだったころだ。ある程度年数が経ってAIが発展している今現在プレイすると、現実味を帯びているように感じられる。

最初の印象として、AIが生成する返答に対して主人公が従うかそうしないか選択をしていく、時にはそれに葛藤するような選択を迫られるようなゲームデザインかな、と思っていたんだけれど別にそういう類ではなかった。ほぼストーリーを読むビジュアルノベル。純粋にストーリー勝負のゲームになる。

SF的な展開だと、そのAIに対して人類がどう向き合っていくのか、とかいう展開になりそうなものだが、ElizaではそうではなくSFは添え物だ。主人公自身の考えにフォーカスしていく。
そうして、主人公の心情を汲んで主人公がそうあって欲しい選択をするのか、プレイヤーがゲームを通じて選んだ選択を主人公に取らせるのか。そこは意図したのか分からないが、AIに従うかそうしないか、に似たところがあるなと思った。

強いてケチつけるとするのであれば、最後の選択肢がどれも魅力的ではないというか、判断できるだけの材料が得られないままだったということだろうか。他の登場人物のことや彼らとの関わりの描写が淡泊だったような気がしている。

Jurassic World Evolution 2 #1 Who Am I?

1作目はTheme Park系の割とオーソドックスなJurassic Park経営だったんだけれど、今回はシリーズ映画を割と意識していて逃げ出して野生化した恐竜たちを捕獲して保護活動と営利活動の折り合いをつけていくような形になっている。

映画に出てきた人物たちも(顔の絵だけ)出てきてその辺はいいんだけれど、君はその仲間となって運営していくんだよというような神視点ではなくて一個人であるかのような体裁でゲームが始まるのに、ゲームをやっているとなぜか急に別人のモブ職員の一人になってヘリを操縦して麻酔銃撃ったり、ジープを運転して恐竜の健康状態をチェックする羽目になる。設定が矛盾している。
というか、この手のアクションじみた手動操作は、Construction and management simulationには不要だろう。区画の開発と経営をしたくてそのゲームをやっているのだから。

Disco Elysium #1 Bone-box

訳すの大変だっただろうなあ。
レイアウトが崩れたり、英語固有の表現に苦心しているのを感じられたり(翻訳方針として原文を重視しているのか、全く違う意訳にはならない)、ゲームでは珍しい訳注がときどき押しつけがましかったりするけれど(ゲーム内にglossaryがあれば良かったんだけれど)、期待以上の出来栄え。言語切り替え機能があるから、気になったら原文で確認できるしね。
以前に英語でやっていたんだけれど、一般的なゲームのような会話形式じゃないから、コンテキストが跳躍しがちで読むのが難しい。過去に文章が難解で量も多い Planescape: Torment を英語でやり通していてもそう思う。根気が必要だ。

このゲームは、さながら大人数で会話しているというニュアンスがあっているかもしれない。そいつらは気まぐれのように会話の主軸に沿ってお喋りすることもあれば、そうでないことも多々ある。そのため、テキストの大部分は読み飛ばして無視しても問題が無いし、対応する選択肢を適当に選んでもストーリーに影響を与えたりしないので、要点となる文章さえ押さえておけば話は分かるようになっている。
だがそれだと、このゲームらしさを堪能することが出来ない。そう思っていたころに、丁度日本語版のアナウンスがされたので待つことに。

最初からやり直して、前進めていたところくらいまで戻ってきて、改めてうーん…なところ。

スキルの上げ時がよく分からない。
頻繁にスキルチェックに成功したり失敗したりするけれど、失敗しても大抵は進行に支障がないからだ。経験値を得る機会を失っているようにも見えないし(そういうケースもありそうだけれど)、別の解決方法が用意されている。初期状態のまま進んで行けてしまう。
恐らく、キャラクタービルドに高い自由度があるため、どんな適当なビルドでもクリアできるようになっていると予想している。

スキルチェックが不定の確率ベースなのがイマイチ。
“コンピュータゲーム”なので、現実的な確率のスキルチェックはリロードでなんとかなってしまう。リロードするだけ時間の無駄である。ファンブル、クリティカルもあって絶対成功しないということが無いので、極めて低い確率でもなんとかなってしまう。それは意図的にそういう難易度にしてあるのでやらないけれど…
ハードコアモードよりも乱数固定モードがあった方が良かったんじゃなかろうか。

Thought Cabinet の説明が不足していてよく分からない。
ストーリーを進めると、チュートリアル的な状況は出てくるんだけれど、それをやっても説明されないことが多い。そして、初回プレイにおいては使用を躊躇させるようなことだらけで、良いデザインとは思えない。

  • リサーチは時間を要するので、そのために積極的にリサーチして使っていくのか、詰まったときだけ要所で有効にして使っていくべきなのか(リサーチやその結果はあくまで副産物)、想定された使用方法が分からない
  • リサーチ完了後の結果が全く予測できないし、その結果は必ずしも有効ではなく不利になる要素もある
  • 最大数は有限である
  • リサーチ完了後にそれを忘れるにはスキルポイントが必要(これはtipsみたいなところにあったかな)

つまり、時間をかけてリサーチしないと効果が分からないが、効果を把握するためになんでもかんでもリサーチしていると後で困るという問題を抱えている。

Mutazione #1 Crossing

ここ数年、マウスとキーボードの打鍵のし過ぎで特に右手人差し指と中指が腱鞘炎気味で、負荷をかけすぎるとすぐに痛むようになってしまった。少しでも指の負担を軽減するために、マウスはかれこれ20年以上愛用していたIE3.0から、キーボードと同じ無接点のReal Force Mouseを使うようになったし、左手用のマウスも用意して負担を分散するようにしている。
そんな状態なので、マウスを使用しなくて概ね親指だけで操作出来るパッド操作に対応していて、操作頻度も多くないアドベンチャーゲームが遊ぶのに適しているんじゃないかと思ってそういうスタイルで遊んでいる。

Mutazione は、リリース時(2019年9月)に一目見てこのゲームは当たりだと直感的に思って買ったゲームなんだけれど、そのあとのIGF 2020で多数ノミネートされていて、目利きは確かだったと自画自賛したのを覚えている。余談だが、そのときのIGFの最優秀賞は A Short Hike で、そっちは発売前から目をつけていたタイトルだった。
しかし Mutazione は、その時は触りだけで全然プレイできていなくて、はや数年が経過してしまっていた。

ゲーム内容は、本格的なアドベンチャーゲームではなくて、歩き回って人とお話していく程度のカジュアルなゲームデザインになっている。さらに主人公は途中からあちこちの庭園の世話をするようになるんだけれど、それもゲーム性はほぼ無くて、話の内容に適した種を植えて促成栽培すればいいだけで特にやりがいは無い。
そういうカジュアルなゲームデザインと同様に、舞台となる島とその人々(ミュータント)は、世間とは隔絶された場所と時間をゆったりと嫌味なく生きていて居心地がよい。前述のとおりパッドでダラダラとやるにはちょうど良い内容だ。
ひたすら優しい(ぬるい)お話が続くのかなと思いきや、Chapterが進むにつれて、複雑な人間関係やシビアな過去が明らかになっていって、それらがアクセントになっている。

一方で、ストーリーが進行する(時間経過が発生する)と、大抵大筋とは関係のない島の人々と新しい会話をすることができてボリュームがあるんだけれど、そのために都度島中を歩いて話してまわるのは結構面倒だ。ゆったりとした内容のゲームにあわせて、プレイヤー側にも余裕があればそうした方が楽しめるんだけれど、それが義務になってしまうと辛い。気が向いたときにほどほどにお話するのが良さそうだ。
いわゆるファストトラベルも無くて、もしそれがあるとそのお話して回る行為も庭園に植える種を集めて回る行為も捗るんだけれど、それはそれでこの島の雰囲気が薄れそうなので悩ましいところだ。
また、ストーリーを進展させていくキーとなる庭園は、種のソートやフィルタリングが出来なくて大したゲーム性じゃないのに余計な時間をとられるのがイマイチ。

総じて、時間に余裕があるときにのんびりやるゲームだと思う。

WHITE ALBUM 2 EXTENDED EDITION

前作WHITE ALBUMは、昔から思い入れのあるゲームで、冬になると時折リプレイしたくなったり、サウンドトラックを聴きたくなったり、よく楽曲を演奏したりしていたのだが、同じメーカーであるLeafのTo Heart 2を境にめっきりとその機会も減っていった。
今冬になって久しぶりにそのモチベーションがふと再燃して、WA1をリプレイしたくなったのだが、Windows 10 64-bitにインストールして動作させるために色々調べていたところ、WHITE ALBUM 2のPC版の完全版(EXTENDED EDITION)が2018年にリリースされていたのを初めて知った。

タイトルから話は逸れるが、最後にWA1をプレイしたのはHDDに残っていた古いデータのタイムスタンプを見る限りだと2006年の年末で、10年以内に1回くらいはやってたような感覚よりもずっと昔の話だった。また、WA1に限らず古いLeafのゲームを64-bit OSにインストールしてちゃんと動作させるのは少々面倒だったのだが、それはまた機会があれば記載するかもしれない。

話を戻して、WA2は2010年の発売前にPS3でリリースされることを当時知っていたのだが、そのころには特に興味も無かったし、そもそもPS3を持っていないので、今となってはその存在をすっかり忘れ去ってしまっていた。

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