前作WHITE ALBUMは、昔から思い入れのあるゲームで、冬になると時折リプレイしたくなったり、サウンドトラックを聴きたくなったり、よく楽曲を演奏したりしていたのだが、同じメーカーであるLeafのTo Heart 2を境にめっきりとその機会も減っていった。
今冬になって久しぶりにそのモチベーションがふと再燃して、WA1をリプレイしたくなったのだが、Windows 10 64-bitにインストールして動作させるために色々調べていたところ、WHITE ALBUM 2のPC版の完全版(EXTENDED EDITION)が2018年にリリースされていたのを初めて知った。
タイトルから話は逸れるが、最後にWA1をプレイしたのはHDDに残っていた古いデータのタイムスタンプを見る限りだと2006年の年末で、10年以内に1回くらいはやってたような感覚よりもずっと昔の話だった。また、WA1に限らず古いLeafのゲームを64-bit OSにインストールしてちゃんと動作させるのは少々面倒だったのだが、それはまた機会があれば記載するかもしれない。
話を戻して、WA2は2010年の発売前にPS3でリリースされることを当時知っていたのだが、そのころには特に興味も無かったし、そもそもPS3を持っていないので、今となってはその存在をすっかり忘れ去ってしまっていた。
そうこうして、PC版のWA2を予備知識を全然仕入れないままここしばらくやりつめて、収録コンテンツのすべてを網羅した。
introductory chapterをやってるときは、ヒロインのどちらがいいとか全然ピンとこないまま流れるままにやっていて、終わるころには自分ならどちらかというとかずさを選ぶかなと思っていた。
closing chapterもなんとなく流れるままに進めていて、それでも雪菜を大切にしようと思っていたのだが、全く出番が無い幻影のようなかずさに段々と入れ込んでいっていたのは不思議な感覚というか、ある意味思惑通りだったのかなと思う。
codaで再開してからは、かずさ一辺倒だったけれど、最初にたどり着いたのは雪菜エンドになってしまった。そのせいで消化不良感はあったものの、他の結末を見てみると、一番綺麗に(あるいは無難に)まとまっているように思えたので最初がそれで良かったと思う。
このゲームの肝であるストーリーは、面白いんだけれどWA1から特性は変わっていて、浮気の背徳感や後ろめたさは随分と無くなっている。これはストーリー上、浮気をしている最中に正式に交際している相手に会って取り繕うような場面が稀だからだ。片方の関係がうまくいっているとき、もう片方の関係は大抵ズタボロになってすれ違っている状態が殆どなので、浮気している最中に、交際している相手に何事もないように振る舞い(またはその逆)、その背徳感に苛まれることは無い。
WA1は、良くも悪くもランダムエンカウントを主としたゲームデザインゆえにその状態がよく発生していて、交際相手や関係者らと屈託のない雑談をしている裏でプレイヤーの意思によって浮気が発生していた。一方で、WA2は良くも悪くも純然たるノベルゲームになってしまったので、決定的な選択肢を選ぶだけで、WA1のような状況にはならない。そのため、ライターの意図しないところで、偶発的な”興味深いナラティブ”は生じることがない。
WA2は浮気ゲームというよりも、因縁に対して苦悶してすれ違って、それでも解決に向かって少しずつ歩んでいくのを見届ける読み物だろう。