The Cat Lady Hints and Conjectures

System

Q1.マウスは使えないの?
A.使えない。
基本はアローキーの上下左右とエンター。スペースキーで台詞を飛ばす、Escキーでセーブ/ロード。

Q2.色々設定できないの?
A.インストールディレクトリのwinsetup.exeから。
購入元によってはスタートメニューあたりから実行できる場合もある。
とはいえ、あまり気の利いた項目はなく、解像度も倍数でしか変更できない(Graphics filterから)。

Q3.セーブデータは上書き/削除できない?
A.出来ない模様。
セーブデータ数は50個が上限なので(マニュアルにも書いてる)、上限に到達したらファイルを直接管理する必要がある。
(追記:ver.1.3でセーブデータスロット数は150個になった)

Windows 7: <System Drive>:\Users\<Username>\Saved Games\Cat Lady

Windows XP (maybe): <System Drive>:\Documents and Settings\<Username>\Application Data\Cat Lady

“agssave.999″は恐らくシステムセーブデータなので消すとまずいはず。
ちなみに、一つあたり5~20MB程度となにをどう保存したらそうなるんだというくらい容量がでかい。無駄にリプレイできるように行動を全部保存しているんじゃないかと思うが。

 

以下はネタバレ(spoiler)を含むため、古典的な背景同色によって隠している。スタイルシートを独自に設定している場合やブラウザによっては、丸見えになっているかもしれないが。
まだ該当箇所までプレイしていない人は見ないこと。

 

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The Cat Lady part.3

クリアした。私的GOTY暫定1位。2012年にプレイしていたら間違いなく1位だっただろう。

 

 

ストーリーについて。

狂気、疑心暗鬼、トラウマ、友情、自己犠牲、そして復讐といった様々な要素が交錯するが、これらの紡ぎ方が非常に巧い。
途中からとある人物が登場するが、その人物のお陰でこのゲームはぐっと深みが増してくる。
全ての孤独から死にたがっているが生かされている者と、ずっと近い予見された死へと向かいつつも生きようとする者、この対比と二つの絡み合ったストーリー展開によって、The Cat Ladyは単なるゴアなホラーではなく、恐怖以外でも感情に揺さぶりをかけてくる生と死のドラマへと昇華している。

ゴアグロを見るのも駄目という人は残念だが、そうでない人には是非ともお勧めしたい。

関係ないが、Soundtrackも買ったはいいが、肝心のvocalの入った(恐らく)Licenced Songsは収録されていないのであった。がーんだな。

The Cat Lady part.2

狩られる側が狩る側に転じた時の高揚感がなんだか背徳的だ。

アドベンチャーゲームでは一般的にそうであるが、ストーリーや演出(要するにネタバレ)を知らずにプレイして経験した方が確実に面白いので、その辺は避けるようにする。part.1で書いたような、知っておくとスムーズにゲームを始められるような内容程度に留めておくべきだろう。

既に買ってプレイしたいという意志が比較的強いのであれば、demoもやるべきではない。
このゲームのdemoの内容は本編の一部を切り取ったものであるが、そこの時点で登場してくる人物との関係というのは結構大切な情報になっているからである。demoではストーリーに関しても、なんだかよく分からないうちに始まってよく分からないうちに終わるという感じなので、全体的な雰囲気を感じ取る以外にはやや適さない。

アートは特に下手というわけではないが、アニメーションすると暈けたように見えたりとクオリティにはムラがある。
Voice Actingにもかなりムラがあって、主人公のSusanの喋りは素晴らしい。とても40歳には聞こえない20代後半から30代くらいの若い声(結構好きな声質)だが巧みである。しかし、棒読み気味でマイクを通して録っているのが分かるような、籠もっていてノイズが入っているNPCもいる。
エフェクトで加工した異質な声も結構あるのだが、エフェクトのかけ具合にムラがあるのか意図してやっているのかは分からないが、時折調子の違う声色になったりしている。これにはドキッとしてしまう。

鳴り止まない雨音・秒針の音、蠢くような足音、定番のジャーンという効果音。ホラーの基本のアンビエントから美しいピアノソロ、メタルといったシーンにあった幅広い音楽。
外観からはラフな印象を受けるしクオリティにムラはあれど、全体の構築は丁寧に作ってあるんじゃないかと思う。

 

TheCatLady-SNS.jpg

Social Networkについて。

 

ゲームデザインがPoint and Clickよりもシンプルな分、クリック可能な場所を探す面倒なpixel-huntingが無いのはよい。
謎解きも全体的に難易度も高くなく、「こんなん分かるか!」というような理不尽なものは一切無い。物を投げたらミラクルが起きて道が通れるようになったとかいうようなのではなく、ロジカルで思わずなるほどと唸ってしまうような解法だったりする。
そもそも、ゴール→何をするべきか→何が必要か→…といった具合に逆算していけるように出来ているため、漠然としていないのもよい。
一方でインベントリのアイテムを組み合わせて何かすると言う複雑なことは、UIやマウスを使わない操作方法の制約上出来ない。一応、一端画面上のインタラクト可能な場所を使ってアイテムを組み合わせることは出来る場合はある。それっぽいものが出てきたら何か組み合わせないといけないんだなということだなと分かりやすい。

あと、会話の比重は大きい。
選択肢次第でシナリオが分岐するんじゃないかというような展開もしばしば発生する。今のところは局所的に分岐してもすぐに本筋に戻っており、なんだかんだで分岐していなさそうではある。しかしながら、その会話の積み重ねが後に大局的な変化を生み出すのではないかと感じさせる。
ただ作業的に上から選択肢を全部選んでいけばよいというわけではないのだ。

The Cat Lady part.1

The Cat Ladyは、家族も友人も将来への希望も無い孤独な40歳の女性”Susan Ashworth”が主人公のHorror Adventureである。2012/12/01 リリース。
もしこのタイトルを日本のゲームが称していたとしたら、猫耳を生やした幼女または美少女が主人公だったに違いない。

一応、Publisher: Screen 7, Developer: Harvester Gamesとなっており厳密にはIndieではない気がするが、Harvester Games自体はIndieと称しているし、Desuraでも販売されているのでIndieと思っても問題はないと思う。

ジャンルのHorrorは猟奇的な類。
PEGIのようなレーティング機関は通していないようだがもちろん18歳未満非推奨で、その内訳はゴア・グロ・暴力が中心。ヌードや汚い言葉はほどほどに付いてくる程度。そもそもアート自体がそこまでリアリスティックではないので、過激すぎてAO(ESRB)と言うほどでもなく、M(ESRB)の範疇だと思う。
他にもflashing imageryと忠告されているが、細かく画像が切り替わったりするような程度で、(以前にも言ってるけれど)Indieにありがちなポケモンショック的に目が痛くなるような明滅というのはない。どちらかというとショッキングな映像表現というニュアンスなのではないかという気がする。
話の内容もかなりダークで大人向けになっている。

AdventureはPoint and Clickかと思いきやもっとシンプルで、左右に移動して名前が表示されるオブジェクトに対してインタラクトしたりアイテムを使ったりする。あとは会話やモノローグなどが中心。英語は偶に俗な表現が出てくるが難しくはない。

TheCatLady-Intro.jpg

冒頭のあらすじはこうである。

—–

自殺を図ったSusanは、夢か幻覚か平原から森へと彷徨う。森で見つけた小屋で謎の老婆と出会う。そして老婆からあることをしてくれたらSusanとして再び生まれ変わらせてやろうと取引を持ちかけられる。

あることとは、今一度蘇りSusanの命を狙う5人のParasites(いわゆるサイコパス)を殺し生き延びること。さらにこの取引の支援としてImmortality(不死)を授ける。

Susanは自殺をしたかったのでそんな取引は望んでいないのだが、老婆曰くParasitesを始末しない限り他の罪無き人が餌食になる、このまま死んだとしても苦しみから逃れることは出来ない、故にこの取引に選択の余地はないと。

不本意ながらその恐喝的な取引に応じて(応じずに進めることも出来るが)、Susanは死の淵から戻ってくることになる。

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私が文章にして起こすと割とありきたりに見えるかもしれないが、このイントロがとにかく刺激的なのだ。

TheCatLady-Tone.jpg

ビジュアルは全体を通してトーンダウンされた色調で、ライティングやキーカラー(血の色とか)以外を極力省いたような方向性。
全く逆のクリーンなイメージのあるMirror’s Edgeなんかもこうした特徴を持っているが、同様にこの統一的な色調は独特な雰囲気作りに一役も二役も買っている。
The Cat Ladyは直接的な続編ではないと思うが、前作のDownfallと見比べるとこの有効性がよく分かる。

全くの余談であるが、The Cat Ladyのdemoをやった後、上記のDownfallの紹介ページを見て気がついたことがある。demoはゲームの最初をプレイするのではなく、恐らく本編中の途中の一部を切り取ったもののようだが、果たしてどうなるのだろうか(本編はまだ途中)。そしてDownfallもやってみたくなったが、公式の直販が正常に動作していない上、他にどこで扱っているのかも分からんのであった。

(追記)Downfallは、ResonanceやGemini Rueでお馴染みのWadjet Eye Gamesから買える。