そんなわけでPvP settingのRealmでやっているのだが、PvEとの違いは自発的にPvPフラグを有効にせずとも対立陣営のプレイヤーに攻撃可能になっているという点である。これぐらいしか違いは無いが、その一手間の違いはそれなりに機能はしているように思われる。
PvPに関しては、ゲームがその役割を求めているのならばやるというのが私のスタンスである(誰かにも言ったことがあるような気がするけれど)。DayZではbandit roleでやっていたし。
WoWでは、二つの陣営が基本的に対立していて世界設定的にもPvP推奨であるため、無いと不自然ですらある。AllianceとHordeで単純なAIのmobを仲良く狩り続けるよりかは、その中でも争いが生じた方が面白いに違いないと思う。
そういった点でもフィールド上で発生するPvPは、舞台をお膳立てされたArena(少人数でのTeam Deathmatch)やBattleground(1チーム10人以上でのCTFやConquest、その他ルールでのチーム戦、例によってルールは一切説明されない)よりも好きである。
フィールドPvPは、殆ど見返りもないしペナルティも無いので不毛ではあるのだが、実際そういう不毛な争いを続けている設定のようだし、それはそれで気兼ねのない対立を生み出している。
とはいえ、PvPは万事がうまく機能しているわけではない。
大前提としてお互いに同程度の強さの装備でないと、一方的な勝負になってしまう。WoWでは装備アイテムに”item level”という強さを数値化したlevelが存在するのだが、これによって大体のプレイヤーの強さが決まる。そして、装備に必要な条件は殆どがレベルであるため、大体のケースではプレイヤーのレベル=強さとなる(例外あり)。
この差があまりにも開きすぎると、テクニックだけではどうしようもなく勝敗を覆せなくなってしまうのである。
これを酷くしているのが、item levelの超パワーインフレである。
サービス開始当初のplayer level 60までのクラシックコンテンツの範囲内だと、player levelとitem levelは大体等しいのだが、かつてのExpansionによるlevel capをまたぐ度にどんどんとitem levelはパワーインフレしていく。現在のMists of Pandarenのplayer level 90ともなると、item levelは500を超えるようになってくる(5.3時点)。これは乱暴に普通のゲームの感覚で表現するとlevel 500のプレイヤーということである。
こうしたパワーインフレの状態では、自分よりも遙かに高いitem levelのプレイヤーに襲われると、一矢報いるとか逃げるとかそんなことは何一つ出来ずに(全ての攻撃が命中しない上に、乗り物での移動速度差は数倍ある)、相手の攻撃一発で何十回も死ねるほどの大ダメージを受けて即死するしか無いのである。
そういったgank行為は基本的に嫌われているので、行われることは少ないのだが、それでもこのゲームをPvP settingのRealmでやっていると何度も経験することになるだろう。
また、player levelが同レベル帯でもExpansionによるlevel capの境界前後(player level 60, 80, 85)と、現在のlevel capであるplayer level 90付近は、パワーインフレの影響を大きく受けるので一方的な展開になりやすい。player level 90に成り立ての人と大体装備が揃った人とでは、item levelは100以上開いていたりする場合もある。そしてHit pointも20万とかそう言う単位で差がつく。
こうしてplayer level 90になると、同じplayer levelでもitem levelが著しく異なるというのを皆考慮しているのか(または私の知らない理由によって)、フィールド上でのPvPは消極的になってしまい、争いが起こる頻度というのが減ってしまっている。
人数差はitem levelに次いで勝敗を決める要因になるため、そういう状況になると発生しやすい程度である。したがって、level capに達するとPvPはレギュレーションで指定item level以下に強さを揃えられるArenaやBattlegroundに投じていくしかない。
尚、PvPにプレイヤーのテクニックが介在する余地が無いかというと、もちろんそんなことはない。大体近いitem levelおよびstatsになってくると、勝敗に大きく起因するのはやはりプレイヤーのテクニックである。
分かりやすくするためにこれまでitem levelのみを取り上げたが、装備アイテムやgem、enchantmentなどによって著しく上昇するstatsが、ドラゴンボール的なパワーインフレを引き起こしているということである。