Downfall

Harvester Gamesの処女作。
GamersGateWadjet Eye Gamesで取り扱っている。

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The Cat Ladyの直接的な前作にあたるわけではないが、この二つの関係はHarvester GamesのRemigiusz Michalski曰く、”Same World”である。
主人公のJoe Davisとその妻のIvyが、The Cat Ladyにカメオ出演しているのはdemoからも分かることであるが、それ以外にも同じようなワードや開発者の趣味が出ているし、夫妻以外でも共通の人物(?)が登場する。だからThe Cat Ladyの前にやっておかなくてはならないというのではなく、どちらを先にせよ両方やることで、二つのゲームに対してより理解が深まるという類だと思う。
ただし、The Cat Ladyは単品でも非常に楽しめる名作であるが、Downfallは単品で楽しむにはやや厳しいところが多いので過剰な期待は禁物である。

このゲームの難点をつらつらと述べていくとキリがないほど多いし、その全てはThe Cat Ladyで素晴らしくなっているので割愛していくが、全体的に作りは荒々しい。鉛筆描きをそのまま取り込んだようなアートも意図してやっているのだろうけれど、個人的には雑な印象を受ける。
ゲームの内容はとにかく実験的で尖ってはいるし、取り扱っている幾つかのテーマも耐性のある大人向けという感じではあるのだが、割と脈絡なく行き当たりばったりにそういった(悪趣味な)シチュエーションをただ配置してみた…ような感じである。結局あれはなんだったの?ただ入れてみたかっただけなの?という箇所は非常に多いし、その原因はゲームを進めると分かるのだがあまり良くないやり方である。
The Cat Ladyでの彼の状況を知っていると、まあそういう類の話なんだろうなと予想はつくのだが。

ちなみに、不適切な内容が原因でSteamでの販売の審査には通らなかったらしい(真偽は不明だが…そのページには他にもTriviaがいくつか書かれている)。
プレイ前は、暴力とかヌードとかグロとかの表現が過激すぎて問題だったのかと思っていたのだが、そうではない。これは一般的な流通では出せないだろうという、一目で分かる”あるテーマ”が扱われていたので、それが原因なのだろう。GamersGateや故Direct2Driveは、よくこのゲームの販売を承認したものだと思う。

Resonance part.2

前回、散々難しいと書いているが、ゲームプレイは面白い。
小難しい話が時々出てくる上に、文字が読みにくく、さらには音声が無くとも自動でメッセージが進む上に、大抵は一度しか話してくれないので、話を理解していくのも結構大変なのだが。ネタバレのない程度にはこんな感じのゲーム。

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二つの小型装置で二対の粒子を利用して、これら装置の中点に装置間の距離に比例した莫大なエネルギーを生じさせる”Resonance Device”。エネルギーの利用次第では人類への貢献にも破壊兵器にもなり得る装置だが、この装置を研究していた研究所で、ある日爆発事故が起こる。
Resonanceに惹きつけられるように集まった4人は、この事故の真相を追っていく。

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中盤の捜索は特に難易度が高いのだが(前回記事参照)、そこを乗り越えて真相に辿り着き始めると、ガツンと展開が加速し話は思わぬ方向に転換していく。
話の必然性から、中盤のように誰もが何処へでも行けるというわけではなく、当然謎解きは易しくなり解きやすくなる。これが早く先を見たい、真相を知りたいと思う気持ちとマッチしていて、一気に最後まで終わらせてしまった。
割と手垢のついたサイバーパンクでありがちなネタもあるし、あの事象はこういうことだったという説明はちゃんとあるものの、それはちょっと無理があるでは?というこじつけのような箇所も無くはない。それでも、Resonanceの話の緩急は見事だった。ただ闇雲に状況を掻き混ぜるだけだったDreamfallは、これをやって猛省するべきだね。

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それから、このゲームには解かなくても進行には支障のない、ゼビ語のような暗号文が38ページ分もあるのだが、これがなかなか凝っている。
一つの記号が一つのアルファベットに対応するいわゆる換字式の暗号文なのだが、直接的な対応を示していないマトリクスのような抽象的なヒントと、暗号文中の記号の頻出具合から類推して解かなくてはならない。
全ページを自力で解く必要はなく、同じ記号には同じアルファベットを当てはめてくれるので数ページ解けばあとは自動でやってくれるのだが、正しい文字の対応はランダムである。この暗号文に限らず、何らかの入力を要求される謎解きの類は、新規ゲーム開始時に決定されるランダムである。解答ではなく、解き方を理解しなくてはならない。
Walkthroughに頼らずに自力で解いた人(特にNon-Native Speaker)は大したもんなんじゃないかと思う。まあ、このゲーム全体を一切Walkthroughに頼らずに解くというのは、かなり難しい方だと思うのだけれどね。

Kingdoms of Amalur: Reckoning part.1

World of Warcraftを意識しまくっているのは誰の目から見ても明らかだろうが、オープンエンドとはいえ何処へ行っても絶壁に阻まれているし、視野角も狭いので閉塞感がつきまとう。おまけにジャンプも出来ないので、情けないほど低い段差にも進行を阻まれたりしてもにょる感じ。
Gothic 3は、無茶苦茶な移動ができて良かったなあと懐かしく思ったり。

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とりあえず、Hardでやってlevel 18くらいまで進めたが、アクションはまあマシな方だと思う。しかしHardとはいえ、ポーションは即時効果でがぶ飲み出来るため、意図的にポーション制限しない限りぬるい。
同じような方向性のアクションがあるRPGとしてThe Witcher 2があるが、あれよりもやっていて断然面白い。4段目の攻撃にちょっとした溜めがあったり、突進を回避するときに僅かにスローになったりしてツボを分かっている。
一年以上前にやったDemoで気に入っていたChakramを扱うSorcererを当初はやろうと思っていたのだが、Chakramは通常攻撃後の硬直をDodgeでキャンセルできないのが痛い。Abilitiesを見る限りでは魔法のバリエーションも期待出来なさそうな感じなので、結局一番扱いやすいLongsword Warriorに。Great SwardとHammerは遅すぎて扱いにくし、DaggerとFaebladeは悪くはないのだが、通常攻撃で相手を吹き飛ばして動きを止められないのが惜しい。

そんな感じでWarriorを育ててみたものの、Might Abilityは全般的に微妙揃いな気がする。確率の数値が調整不足なんじゃないかというようなゴミスキルが多い。
Adrenaline SurgeはHP25%以下で発動といっても、最大で75%なので当てにしてはいけない。そもそもHardだとHPが十分に無いと一気に死ぬ場合が多いので、25%付近で放っておくのは危険である。Bulwarkでダメージを受けたときにスタンさせようにも、最大で5%(累積ではなく毎回抽選)の超低確率なので、クリティカルヒットよりも当てにならない。Relentless Assaultで得られるスーパーアーマーなんて、防御力が”下がる”ので自殺行為だ。さらにVengeanceで攻撃反射する可能性があるとはいえ、これも確率は低い。
幸いにも、金さえ払えればつぎ込んだ能力値をリセットしてやり直せるので、ビルドに失敗してもなんとかなる。しかし、例えばWarriorからSorcererやマルチ(クラスという概念は緩い)などに変更するケースは装備条件の都合があるので気楽に、とはいかないのだが。

ところで、クエストはあからさまにお使い然としたものしかなくてつまらんのだが、本当にKen Rolstonはデザインに関わったのだろうか?いや、Morrowindもあまり芸が無かった気がするが、雰囲気作りは良かった気がするのだが。
あれしてきて→一本道の洞窟を駆け抜ける→やってきた→じゃあ次あれね、ばかりで面白くもなんともない。色々ご託を並べて用事を押しつけてくるのだが、読む必要もねえなと段々と飛ばすようになってくるので、久しぶりのRPGなのにまともに話を聞いていなかったりする。幸か不幸か、私が散々嫌いと言っているクエストマーカーが表示されているので、そこを目指すだけである。

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あのさあ…ベッドで寝ろよ。

Resonance part.1

コテコテのold schoolなPoint and Click Adventureである。

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いきなり戸惑うのはインターフェイス上のLTM, STMという文字だろう。マニュアルのpdfは無いので、README.txtを読まなくてはならない。tickerのような表示領域に時折操作に関するtipsが表示されることもあるが、領域が狭すぎて読めたものではない。

LTM: Long-Term Memory
重要な情報を得たら自動で追加される。

STM: Short-Term Memory
マップのインタラクト可能な場所や物を手動で追加することが出来る。

いずれもインベントリのアイテムと同じような扱いであり、調べたり使用したりして解決していく。この独自の要素があるお陰でゲームの難易度は高い。
一般的なゲームでは何かの状況やオブジェクトに出くわすと何らかのフラグが立ち、それに関するの話題を切り出す出す選択肢が出てくるが、Resonanceではそうではない。会話や対象に臨む前にあらかじめ、自分でSTMとしてピックアップしておき、自分で提示する必要がある。いわば見える手動管理されたフラグであるのだが、正解以外の話題の場合、切り出せないかリアクションに乏しく、行き詰まった場合にあれは一体どうなんですかね、これはどうすればいいんですかね、と話題を提示して助言を求めることができない。何が解決の糸口になっているのかが分からないことが多いため難しいのだ。
LTMに至っては長期的に溜まり続けるため、直近のLTMではなく随分過去のLTMを話題として切り出す必要もあるのも難しい。
色々と応用の利きそうなデザインなのだが、割と突拍子もないものが正解だったりするので、結局のところ古典的に総当たりのようになってしまうのが残念である。

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さらにこのゲームを難しくしているのは、4人のプレイアブルなキャラクターがいることだろう。ある程度ゲームが進行すると、この4人を殆どいつでも切り替えて操作出来るようになる。それと同時に複数のロケーションにアクセス可能になり、ある程度自由に探索できるようにもなる。
そこからゲームを進めるには、4人のうちの誰かを特定の場所に移動させて特定の行動をとらなくてはならない。つまり、試行することが出来るまたは試行しなくてはならない行動の数が単純には4倍になるということだ。もちろんキャラクターによってアクセスが制限されていたり、話の流れから必然的に関わってくるキャラクターを絞り込めたりするので、実際に想定しうる行動はそれよりも少ない。
しかしながら、あるキャラクターがとあることをしている最中に他のキャラクターに切り替えてある行動をしなくてはならないといったシチュエーションもあるので、単純な総当たりでは解決しきれない複雑な難しさも持ち合わせているのである。