Burnhouse Lane #2 Endings

Burnhouse Laneは、隠されていない実績の一つにGolden Endingがあり、マルチエンディングの存在が示唆されている。もちろん、過去作にもそれらは存在しており、プレイした人にとってはお馴染みだろう。
それらエンディングの条件について。

今作では、Golden Endingの条件は多岐に渡り、単一スロットのセーブポイント制になったこともあるため、意識しないでそれに辿り着くとことは困難になっていると思われる。Downfall (2016)もそれが難しいのだけれど、The Cat LadyとLorelaiは初見でも不可能ではないだろう。

なるべくプレイ経験を損なわないように本当に核心的なことは省略して記述しているが、以降ネタバレあり。

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Burnhouse Lane #1 First Playthrough Impressions

Devil Came Through Here Trilogy というか、名作 The Cat Lady (以降 TCL)とそのシリーズ(Downfall, Lorelai)の、Harvester Gamesの新作 Burnhouse Lane。

タイトルメニューからすぐにアクセスできる Extras には謝辞や色々書いているんだけれど、Burnhouse Lane は当初 The Cat Lady 2 として開発されていたことが記載されている。実際にプレイしてみるとTCLを彷彿とさせるエッセンスが至る所にあって、むしろどうして2としてタイトルしなかったのかを知りたくなる。

以降、軽微なネタバレを含む。

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この世の果てで恋を唄う少女YU-NO (2019) #1 Double Direction

Steam版は2019年。移植元のリメイクは2017年のPS4, PS VITA版。
このPS版のリメイクが発表されたとき、どれくらい原作に忠実につくられるのか懐疑的だったし、そもそもPS4もVITAも所有していないので見送っていた。しかし、最近知るところによると、サターン版にかなり近いらしい。

少しプレイした感じだと、原作をリスペクトしていて良いと感じられる部分と、逆に全くそうでない部分が混在していて、まるで原作の理解度が異なるディレクターが複数人いて、それぞれでちぐはぐな判断になったのかなという印象がある。
以下は、PC-98版、サターン版プレイ済みでそういう観点での良し悪し。

良い

  • BGMは控えめにリミックスされていて違和感はない
    • それでも気に入らなかったら原作版に切り替えられる
  • キャラクターボイスはサターン版の声質を意識しているのか、似た感じで違和感があまりない
    • 特にたくやは若すぎず、渋すぎず、檜山修之のようなヒロイックさは無いが雰囲気は似ている
    • 存命の人は同じキャスティングでも良かったんじゃないかな
  • ヒント機能が便利そう
    • 切り替えもできるので、初見プレイなら無効でプレイして欲しいんだけれど、既にプレイ済みの人は最初から有効にして快適にプレイできそう。
  • クリック可能なポイントが全て表示されている
    • Point & Click できないデバイスの都合上こうしたようだけれど、無意味なクリックが減るので快適。初見プレイの人はしらみつぶしにクリックや選択肢の総当たりすることを味わって欲しい気もするけれど、今どきそれは厳しいという判断だろう。
    • 沢山表示されるとゴチャゴチャした感じはあるし装飾が過剰気味だし、キーボードやパッド入力だと鈍いカーソル移動じゃなくてもう瞬時にポイント上に移動して選択状態にすればいいじゃないかと思うが、全体的な印象はよい。

悪い

  • イントロデモ(アトラクトデモ)が無い
    • まず最初に期待しながらしばらく放置したんだけど…いきなりがっかり。
  • 代わりに、プロローグシーンが済むとムービーが流れるんだけれど、MAGESのゲームでお馴染みの、社長が作った有難い曲を流したいだけのイメージムービーに変更
    • 原作だと、広大の行動をたっぷり意味深にBGMに合わせてアニメーションさせるのに、そういう感じも無くただただネタバレダイジェスト
    • メタ攻略部分がほんの一瞬しか流れない。初見の人はまず見落とすし、記憶にも残らない。また、カットされてる内容もある。
    • しかも、ゲーム内でリプレイできない。ネット上で見られるけれど、そんなのは能動的に見にいかないといけないから駄目。
  • アートが見劣りする
    • キャラクターデザインは好みが分かれるところだが、割と(5年前の)今風でデフォルメされて情報量が少ないせいだろうか、原作よりも低彩度で描きこみ量が少ない。
      • それに合わせてか、背景も情報量が少な目になっている
      • さらに表情アニメーションの都合で塗りが簡素化されてしまっている
    • 個人的には、諸々の要因が合わさって全体的にヘタクソに感じる。 原作の方が魅力的だ。
      • キャラクターデザインの人が普段描くアートは知っていて、それよりも上手くないように感じられるので、全体の制作工程によるものだろうか。
  •  UIが世界観無視
    • リフレクターデバイスが画面上に常時表示されない
      • A.D.M.S.起動はただの文字ボタン
    • 鏡にいたってはUI上に全く存在せず、セーブはシステムメニューからペンのアイコンを選ぶ
      • ゲーム内に鏡が出てきても全く意味不明なんだけれど、プレイしたことあるの?
    • 無意味に不透明で過剰なウインドウ装飾でその背後が見えない
      • PC-98の頃は制約上ああいう風になってるだけなので

どちらとも言えない

  • 全体的にリメイク感があるのに、テキストだけは原作ママでいわゆるelfのエロゲーのノリで進むのがチグハグで違和感があるかもしれない
    • しかもフルボイスなのでテンポが悪い。馬鹿正直に読み聞きするようなダイアログじゃないぞそれ。
    • リメイクではなくて、全体的に忠実な移植にしないと解決が難しいと思う。

Disco Elysium #1 Bone-box

訳すの大変だっただろうなあ。
レイアウトが崩れたり、英語固有の表現に苦心しているのを感じられたり(翻訳方針として原文を重視しているのか、全く違う意訳にはならない)、ゲームでは珍しい訳注がときどき押しつけがましかったりするけれど(ゲーム内にglossaryがあれば良かったんだけれど)、期待以上の出来栄え。言語切り替え機能があるから、気になったら原文で確認できるしね。
以前に英語でやっていたんだけれど、一般的なゲームのような会話形式じゃないから、コンテキストが跳躍しがちで読むのが難しい。過去に文章が難解で量も多い Planescape: Torment を英語でやり通していてもそう思う。根気が必要だ。

このゲームは、さながら大人数で会話しているというニュアンスがあっているかもしれない。そいつらは気まぐれのように会話の主軸に沿ってお喋りすることもあれば、そうでないことも多々ある。そのため、テキストの大部分は読み飛ばして無視しても問題が無いし、対応する選択肢を適当に選んでもストーリーに影響を与えたりしないので、要点となる文章さえ押さえておけば話は分かるようになっている。
だがそれだと、このゲームらしさを堪能することが出来ない。そう思っていたころに、丁度日本語版のアナウンスがされたので待つことに。

最初からやり直して、前進めていたところくらいまで戻ってきて、改めてうーん…なところ。

スキルの上げ時がよく分からない。
頻繁にスキルチェックに成功したり失敗したりするけれど、失敗しても大抵は進行に支障がないからだ。経験値を得る機会を失っているようにも見えないし(そういうケースもありそうだけれど)、別の解決方法が用意されている。初期状態のまま進んで行けてしまう。
恐らく、キャラクタービルドに高い自由度があるため、どんな適当なビルドでもクリアできるようになっていると予想している。

スキルチェックが不定の確率ベースなのがイマイチ。
“コンピュータゲーム”なので、現実的な確率のスキルチェックはリロードでなんとかなってしまう。リロードするだけ時間の無駄である。ファンブル、クリティカルもあって絶対成功しないということが無いので、極めて低い確率でもなんとかなってしまう。それは意図的にそういう難易度にしてあるのでやらないけれど…
ハードコアモードよりも乱数固定モードがあった方が良かったんじゃなかろうか。

Thought Cabinet の説明が不足していてよく分からない。
ストーリーを進めると、チュートリアル的な状況は出てくるんだけれど、それをやっても説明されないことが多い。そして、初回プレイにおいては使用を躊躇させるようなことだらけで、良いデザインとは思えない。

  • リサーチは時間を要するので、そのために積極的にリサーチして使っていくのか、詰まったときだけ要所で有効にして使っていくべきなのか(リサーチやその結果はあくまで副産物)、想定された使用方法が分からない
  • リサーチ完了後の結果が全く予測できないし、その結果は必ずしも有効ではなく不利になる要素もある
  • 最大数は有限である
  • リサーチ完了後にそれを忘れるにはスキルポイントが必要(これはtipsみたいなところにあったかな)

つまり、時間をかけてリサーチしないと効果が分からないが、効果を把握するためになんでもかんでもリサーチしていると後で困るという問題を抱えている。

Mutazione #1 Crossing

ここ数年、マウスとキーボードの打鍵のし過ぎで特に右手人差し指と中指が腱鞘炎気味で、負荷をかけすぎるとすぐに痛むようになってしまった。少しでも指の負担を軽減するために、マウスはかれこれ20年以上愛用していたIE3.0から、キーボードと同じ無接点のReal Force Mouseを使うようになったし、左手用のマウスも用意して負担を分散するようにしている。
そんな状態なので、マウスを使用しなくて概ね親指だけで操作出来るパッド操作に対応していて、操作頻度も多くないアドベンチャーゲームが遊ぶのに適しているんじゃないかと思ってそういうスタイルで遊んでいる。

Mutazione は、リリース時(2019年9月)に一目見てこのゲームは当たりだと直感的に思って買ったゲームなんだけれど、そのあとのIGF 2020で多数ノミネートされていて、目利きは確かだったと自画自賛したのを覚えている。余談だが、そのときのIGFの最優秀賞は A Short Hike で、そっちは発売前から目をつけていたタイトルだった。
しかし Mutazione は、その時は触りだけで全然プレイできていなくて、はや数年が経過してしまっていた。

ゲーム内容は、本格的なアドベンチャーゲームではなくて、歩き回って人とお話していく程度のカジュアルなゲームデザインになっている。さらに主人公は途中からあちこちの庭園の世話をするようになるんだけれど、それもゲーム性はほぼ無くて、話の内容に適した種を植えて促成栽培すればいいだけで特にやりがいは無い。
そういうカジュアルなゲームデザインと同様に、舞台となる島とその人々(ミュータント)は、世間とは隔絶された場所と時間をゆったりと嫌味なく生きていて居心地がよい。前述のとおりパッドでダラダラとやるにはちょうど良い内容だ。
ひたすら優しい(ぬるい)お話が続くのかなと思いきや、Chapterが進むにつれて、複雑な人間関係やシビアな過去が明らかになっていって、それらがアクセントになっている。

一方で、ストーリーが進行する(時間経過が発生する)と、大抵大筋とは関係のない島の人々と新しい会話をすることができてボリュームがあるんだけれど、そのために都度島中を歩いて話してまわるのは結構面倒だ。ゆったりとした内容のゲームにあわせて、プレイヤー側にも余裕があればそうした方が楽しめるんだけれど、それが義務になってしまうと辛い。気が向いたときにほどほどにお話するのが良さそうだ。
いわゆるファストトラベルも無くて、もしそれがあるとそのお話して回る行為も庭園に植える種を集めて回る行為も捗るんだけれど、それはそれでこの島の雰囲気が薄れそうなので悩ましいところだ。
また、ストーリーを進展させていくキーとなる庭園は、種のソートやフィルタリングが出来なくて大したゲーム性じゃないのに余計な時間をとられるのがイマイチ。

総じて、時間に余裕があるときにのんびりやるゲームだと思う。