To the Moon

美しいが、惜しかった。
フラッシュバックとかではなく、記憶を遡って紐解いていくというのはのは、ありそうであまり無かったように思う。

逆行中にMementoとかインタラクト出来る場所の量や質をもっと濃くしたり、もっと各々のエピソードや人物を描写して掘り下げたりした方が良かったのに。クリックして球が出るだけとか、その辺が非常に味気ない。

Dr.二人のノリが軽く、しばしばギャグを飛ばすのもなあ。
偶にならまだ良いのだが、口を開く度にやられるともうね。状況が状況だけに全く面白くない。人が死にそうなんだから真面目にやれと(内心は真面目なんだけれど)。個人的にはガチガチのシリアスな方向性にした方が良かったと思うのだが。それくらい重いテーマを扱っているのだし。

反面、曲は非常に美しい。
味気なく退屈なシーンでも曲の雰囲気に流されてしまいそうなくらいに美しい。

以下は、核心的なネタバレ(Spoiler)を含みます。

 

ToTheMoon-AndYouAndI.jpg

 

タイトルの通り、月へ行くという目的はゲームを始める前から既に分かりきってしまっている。それが物理的か比喩かその他の手段であるかどうかは兎に角。
ゲームにおいて目的というのはゴールであり、バッドエンドでない限り辿り着けるものである。だからゴールに至るまでの紆余曲折はあれ、とりあえず当初の予定通りにゴールを果たしたところで、そのゴールの見せ方に余程手の込んだことをしていない限り感慨というものは大して無いのである。
フィクションにおいて、容疑者がそのまま犯人だったという推理モノなんてあるんでしょうかね。

分かりきっているからこそ、そこに至るまでの過程が重要で(ゲーム中でも頻出していたけれど)、遠い過去の出会いと約束をするシーンだとか、曲の本当の名前が分かるシーンだとかにはゴールよりも心打たれるものがあった。前者では、そのまま精神的な意味合いで月に辿り着いて終わっても良かったんじゃないのかと思うくらいだ。
後者は最後に。

 

さて、開発側がどこまで意図したものであるかは分からないが(それが分かるのは続編が出たときだろう)、果たして記憶の改竄というのは許されるのだろうか。尊厳死のように賛否あることだろう。
私はその人の生涯とそこで得た記憶は良かったのか悪かったのかはどうあれ、その人とその人と強く関わりを持ってきた人にとって唯一無二のものであり、第三者がとやかくできるものではないと思う。例え本人が改竄を望んでいて、改竄した結果が本人にとって理想であったとしても。そこに堪え難い経験があったとしても、自身でどうにかしないことには、得られるものはただの虚だろう。
だから私にとっては幕引きに至るまでの改竄は、挿入歌の所為で美しくもあったが不気味に映った。
ゲームではEvaがそれを強行したが、Neilによって制止する選択が欲しかった。折角のゲームなのだから、本質的な決断くらいプレイヤーに決めさせて欲しいものである。理想よりも閉ざされた記憶を思い出して、真にRiverのことを知り、全てを受け入れて逝って欲しかったと思う。
(ゲームにおいて彼は思い出したというよりも、彼にとって都合の良いRiverと結ばれたことになる。妄想の上で。)

 

あの曲。
ピアノバージョンが一番分かりやすいが、長1度や完全8度の八分音符のリフレインがひたすら続く。
有名なショパンの雨だれでは単音の連打を雨音として表現していたが、この曲ではその名前が明らかになると同時にリフレインの意味が分かる。それは星々の煌めきだ。主旋律が何を示すかは言うまでもないだろう。
また、かのシーンではありふれた名前を星々に比喩して、特別な人が何なのかを暗に示していた。その本当に特別な人に会いたいという願いはあった。やはりあの二人の曲なのである。
しかも連弾の曲である。こういうところは実にニクイ。


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