The Cat Lady part.2

狩られる側が狩る側に転じた時の高揚感がなんだか背徳的だ。

アドベンチャーゲームでは一般的にそうであるが、ストーリーや演出(要するにネタバレ)を知らずにプレイして経験した方が確実に面白いので、その辺は避けるようにする。part.1で書いたような、知っておくとスムーズにゲームを始められるような内容程度に留めておくべきだろう。

既に買ってプレイしたいという意志が比較的強いのであれば、demoもやるべきではない。
このゲームのdemoの内容は本編の一部を切り取ったものであるが、そこの時点で登場してくる人物との関係というのは結構大切な情報になっているからである。demoではストーリーに関しても、なんだかよく分からないうちに始まってよく分からないうちに終わるという感じなので、全体的な雰囲気を感じ取る以外にはやや適さない。

アートは特に下手というわけではないが、アニメーションすると暈けたように見えたりとクオリティにはムラがある。
Voice Actingにもかなりムラがあって、主人公のSusanの喋りは素晴らしい。とても40歳には聞こえない20代後半から30代くらいの若い声(結構好きな声質)だが巧みである。しかし、棒読み気味でマイクを通して録っているのが分かるような、籠もっていてノイズが入っているNPCもいる。
エフェクトで加工した異質な声も結構あるのだが、エフェクトのかけ具合にムラがあるのか意図してやっているのかは分からないが、時折調子の違う声色になったりしている。これにはドキッとしてしまう。

鳴り止まない雨音・秒針の音、蠢くような足音、定番のジャーンという効果音。ホラーの基本のアンビエントから美しいピアノソロ、メタルといったシーンにあった幅広い音楽。
外観からはラフな印象を受けるしクオリティにムラはあれど、全体の構築は丁寧に作ってあるんじゃないかと思う。

 

TheCatLady-SNS.jpg

Social Networkについて。

 

ゲームデザインがPoint and Clickよりもシンプルな分、クリック可能な場所を探す面倒なpixel-huntingが無いのはよい。
謎解きも全体的に難易度も高くなく、「こんなん分かるか!」というような理不尽なものは一切無い。物を投げたらミラクルが起きて道が通れるようになったとかいうようなのではなく、ロジカルで思わずなるほどと唸ってしまうような解法だったりする。
そもそも、ゴール→何をするべきか→何が必要か→…といった具合に逆算していけるように出来ているため、漠然としていないのもよい。
一方でインベントリのアイテムを組み合わせて何かすると言う複雑なことは、UIやマウスを使わない操作方法の制約上出来ない。一応、一端画面上のインタラクト可能な場所を使ってアイテムを組み合わせることは出来る場合はある。それっぽいものが出てきたら何か組み合わせないといけないんだなということだなと分かりやすい。

あと、会話の比重は大きい。
選択肢次第でシナリオが分岐するんじゃないかというような展開もしばしば発生する。今のところは局所的に分岐してもすぐに本筋に戻っており、なんだかんだで分岐していなさそうではある。しかしながら、その会話の積み重ねが後に大局的な変化を生み出すのではないかと感じさせる。
ただ作業的に上から選択肢を全部選んでいけばよいというわけではないのだ。

The Cat Lady part.1

The Cat Ladyは、家族も友人も将来への希望も無い孤独な40歳の女性”Susan Ashworth”が主人公のHorror Adventureである。2012/12/01 リリース。
もしこのタイトルを日本のゲームが称していたとしたら、猫耳を生やした幼女または美少女が主人公だったに違いない。

一応、Publisher: Screen 7, Developer: Harvester Gamesとなっており厳密にはIndieではない気がするが、Harvester Games自体はIndieと称しているし、Desuraでも販売されているのでIndieと思っても問題はないと思う。

ジャンルのHorrorは猟奇的な類。
PEGIのようなレーティング機関は通していないようだがもちろん18歳未満非推奨で、その内訳はゴア・グロ・暴力が中心。ヌードや汚い言葉はほどほどに付いてくる程度。そもそもアート自体がそこまでリアリスティックではないので、過激すぎてAO(ESRB)と言うほどでもなく、M(ESRB)の範疇だと思う。
他にもflashing imageryと忠告されているが、細かく画像が切り替わったりするような程度で、(以前にも言ってるけれど)Indieにありがちなポケモンショック的に目が痛くなるような明滅というのはない。どちらかというとショッキングな映像表現というニュアンスなのではないかという気がする。
話の内容もかなりダークで大人向けになっている。

AdventureはPoint and Clickかと思いきやもっとシンプルで、左右に移動して名前が表示されるオブジェクトに対してインタラクトしたりアイテムを使ったりする。あとは会話やモノローグなどが中心。英語は偶に俗な表現が出てくるが難しくはない。

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冒頭のあらすじはこうである。

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自殺を図ったSusanは、夢か幻覚か平原から森へと彷徨う。森で見つけた小屋で謎の老婆と出会う。そして老婆からあることをしてくれたらSusanとして再び生まれ変わらせてやろうと取引を持ちかけられる。

あることとは、今一度蘇りSusanの命を狙う5人のParasites(いわゆるサイコパス)を殺し生き延びること。さらにこの取引の支援としてImmortality(不死)を授ける。

Susanは自殺をしたかったのでそんな取引は望んでいないのだが、老婆曰くParasitesを始末しない限り他の罪無き人が餌食になる、このまま死んだとしても苦しみから逃れることは出来ない、故にこの取引に選択の余地はないと。

不本意ながらその恐喝的な取引に応じて(応じずに進めることも出来るが)、Susanは死の淵から戻ってくることになる。

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私が文章にして起こすと割とありきたりに見えるかもしれないが、このイントロがとにかく刺激的なのだ。

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ビジュアルは全体を通してトーンダウンされた色調で、ライティングやキーカラー(血の色とか)以外を極力省いたような方向性。
全く逆のクリーンなイメージのあるMirror’s Edgeなんかもこうした特徴を持っているが、同様にこの統一的な色調は独特な雰囲気作りに一役も二役も買っている。
The Cat Ladyは直接的な続編ではないと思うが、前作のDownfallと見比べるとこの有効性がよく分かる。

全くの余談であるが、The Cat Ladyのdemoをやった後、上記のDownfallの紹介ページを見て気がついたことがある。demoはゲームの最初をプレイするのではなく、恐らく本編中の途中の一部を切り取ったもののようだが、果たしてどうなるのだろうか(本編はまだ途中)。そしてDownfallもやってみたくなったが、公式の直販が正常に動作していない上、他にどこで扱っているのかも分からんのであった。

(追記)Downfallは、ResonanceやGemini Rueでお馴染みのWadjet Eye Gamesから買える。

Rocksmith Master Mode and DLC

年末年始あたりに最大のRank 11: Rocksmithになってもなおチマチマとプレイ中。

マスターモードが解禁された曲も結構増えてきた。
マスターモードは、その曲の全てのフレーズのレベルを最大にする。なおかつ、その状態で10万点を超える。で、解禁されるのだが、このモードは早い話が完全なブラインドモードで譜面や得点が一切見えなくなるだけである。
見えないだけで判定と採点は行われているようだが(得点2倍らしい)、いくらミスしても大丈夫ではある。

最悪なのが、ライブのアンコールでこいつがかなりの頻度で出てくること。
初めて見たときは、曲だけ始まって画面が観客席のままなのでバグかと思った。
好きでもなく対して思い入れもない数回弾いただけの曲なんざ覚えているわけもなく、観客は終始冷めっぱなし、公開処刑っぷりに勘弁してくれという気分になってくる。
当然得点は表示されないものの殆どとれていないので、ダブルアンコールは発生しない。ダブルアンコールが発生しないとアンロックされないシークレットなtoneや曲があるのがまた厄介である。私の場合はマスターモードがアンコールで頻出する前に多分全て解禁済みだが、うかつに曲を絞ってやりこんでマスターモードを解禁してしまうと、後々シークレットの解禁が面倒なことになるかもしれない。

偶にパワーコード3つくらいをずっと弾いているだけのような退屈な曲はなんとなくは覚えているので、ずっと適当にパワーコードを弾いていると時々当たっているらしくポツポツと盛り上がりはする。もちろんソロも従来通り厳密にコピーして弾かなくてはならないので、無理ゲーである。
こうしてある程度の得点をとれているとダブルアンコールは発生するようだが、正直このマスターモードは糞過ぎてアンコール時に出ないようにしたいくらいだ。幸いにもアンコールに入ってからイベントを中断しても、そのイベントはアンコール無しに終了したことになるのが救いではある。

マスターモードは、従来通りに譜面を出して判定は一切行わない、とかにするべきだろう。そして最高レベルに到達していても簡略化されているフレーズを原曲そのままにすると。
ブラインドにしたいのならば、プレイヤーが任意に選択しない限りそうならないようにするべきだ。強制は害悪でしかない。

DLC Review

Holiday Song Pack

無料。
3曲ともインストな上に、ピンからキリまで難易度が住み分けが出来ている。ピロピロと速弾きが出来るくらいの人にとっては物足りない難易度だが、そうでない人には丁度良く、指の運動になると思う。
ジングルベルが鳴るようなあからさまな曲ではないが、ホリデーを意識したようなフレーズも偶にあったりするので、その時節以外で弾いてると浮いた感じがするのがネックか。

Judas Priest Song Pack

Painkillerだけ飛び抜けて難しい。Rocksmithの中でも最高峰の難易度なんじゃないだろうか。
あとの2曲は簡単なので、ファンではなく弾きごたえのある曲が欲しい場合は、Painkillerだけでいいと思う。

Queen Song Pack

随所にBrian Mayの個性というか癖が溢れ出ていて弾きにくい。インプロなんて本人もわざわざ完コピしないだろ。
事前に分かっちゃいたが、Bohemian Rhapsodyの実際に弾く場所は曲の半分くらいなので、相当に暇である。一緒に歌おう。

Bring Me to Life – Evanescence

曲が結構気に入ったので買ったものの、ギターに限って言えば単調で簡単。
2, 3のフレーズを繰り返して特に盛り上がりもないまま終わる。

The Final Countdown – Europe

ソロ以外は簡単。
例の有名なフレーズはどう聴いてもギターも弾いているようには聞こえないのだが、イントロはギターも一緒に弾くようになっている。

Smoke on the Water –  Deep Purple

これもソロ以外は簡単。だがMachine Headに収録されているバージョンとは異なるのが駄目駄目。
ソロはMachine Head版よりも速弾きする箇所が激減しているので難易度は低くなっているはずなのだが、例えばD,F,G,D,F,G…というフレーズを3弦:7F,2弦:6F,2弦:8F…ではなく3弦:7F,3弦:10F,2弦:8F…といったRichie Blackmoreはこういう弦の使い方しないだろうというノートの配置なので弾きにくい。無視してやりやすいように弾ければいいのだが、とっさには難しいのだ。
収録されているバージョンが違うのは契約上の都合があったのかもしれないが、例の有名なリフで3,4弦の開放を使うあたりからしても(本当は2,3弦:5Fを使う)、Rocksmith staffは分かってないよ(キリッ